リサーチ・アイ No.2025-111 地方銀行における利ざやの改善と今後の課題 ― 貸出金利引き上げのハードルは高まる一方、預金獲得競争は活発化 ― 2025年11月20日 大嶋秀雄上場地銀(地方銀行、第二地方銀行)の2025年9月期決算(中間決算)は、資金運用利益が改善し、コア業務純益は前年同期比3割増。堅調な設備投資需要等で貸出が伸びたほか、日本銀行(日銀)の利上げを受けて、預貸利ざや(貸出金利回り―預金等利回り)も改善。各行の利ざやをみると、25年3月期(通期)は改善していない銀行も多かったが、25年9月期は大半が改善。預金金利は政策金利に連動しやすい一方、貸出金利は個別契約となるため、引き上げは容易でなく、利上げの反映が遅れる傾向。とりわけ地銀は固定金利貸出が多く、利ざやの改善には一定の時間が必要。また、銀行の規模によって収益改善幅に格差が存在。小規模な地銀を中心に資金運用利益の改善は小幅で、貸出金利を十分引き上げられていない可能性。また、ビジネス成長力の差も広がっており、小規模な地銀では、貸出が伸び悩み、預金が減少している銀行も。日銀は利上げを継続する姿勢であり、地銀業績は改善期待。もっとも、政策金利が上がるほど貸出金利引き上げのハードルが高くなり、預金獲得競争は激化する公算。今後、地銀においては、融資先との対話や経営課題解決の支援を一層強化するとともに、人材・システム等への成長投資や事業多角化に向けたM&Aなども積極的に行い、競争力強化を図る必要。異業種との連携や、他行とのシステム・店舗等の共同化や再編も選択肢。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)