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Economist Column No.2025-055

万博跡地等のベイエリア開発が大阪にもたらすもの-大阪の中心部が東京の山手線サイズまで拡大する可能性

2025年11月04日 石川智久


■大阪ベイエリアが開発されれば大阪中心部は東京の山手線サイズまで拡大
大阪の街の規模は、東京に比べて小さい。例えば、都市中心部を大まかに示すものとして、山手線と大阪環状線を比べると、前者は一周約60分を要するが、後者は約40分である。もっとも、万博会場となった夢洲は、環状線から西側の外側にある工場・倉庫地域であるベイエリアに位置するが、ここが開発されると、大阪の都市中心部は非常に大きくなる。西端の夢洲から環状線の東側までは約14キロメートルであり、環状線の南北は約6キロメールであるが、これは山手線の内側(南北で14キロメール、東西で7キロメートル)にほぼ相当するサイズとなる。もちろん、東京の都市部は山手線の外にも一定程度存在しており、彼我の差はまだ大きいのも事実であるが、ベイエリアの開発は大阪が中心部の規模において東京に近づくという意味で非常に重要なステップと言える。もちろん、その場合は、夢洲だけでなく、舞洲・咲州等の近隣地区の開発も考えていく必要がある。

■ベイエリア開発に向けて官民連携の司令塔やシンクタンクを作る必要性
夢洲にはいわゆるカジノ付き統合型リゾート(IR)計画があり、それが2030年頃を目途に開業する予定である。そして、万博跡地についても開発が進む予定である。まさに大型開発が進もうとしているが、万博跡地は非常に広大であるため、乱開発となってしまうリスクがある。それを避けるためには、夢洲新産業・都市創造機構【2025】等が提案するような、官民の人材を結集したベイエリア開発の司令塔を作る必要がある。さらに、その司令塔がワンストップ窓口的な役割を果たせば、多様な関係者をコーディネートすることが可能となろう。
また、今後は各種団体が政策提言を行うことも考えられる。こうした提言をきちんとした分析と精査を行うシンクタンクも必要であり、そうした機能を司令塔に置くことも検討すべきであろう。

参考文献
一般社団法人夢洲新産業・都市創造機構 大阪 IR(統合型リゾート)&ベイエリア共創分科会【2025】「大阪ベイエリアの発展に向けた提言及び論点整理(Ver1)~万博の勢いを活かして「未来社会の理想郷」にふさわしい国際観光都市・社会実装の場へ」
https://yumeshimakikou.org/wp-content/uploads/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%8F%90%E8%A8%801007-1.pdf
なお、本分科会の座長は筆者。



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