ビューポイント No.2025-018 COP30 の注目点 ~気候変動対応の機運低下、国際連携の見直しも要検討~ 2025年09月22日 大嶋秀雄11月10日から、ブラジルのベレンにて、気候変動枠組み条約(UNFCCC)の第30回締約国会議(COP30)が開催。議長国ブラジルのルラ政権は環境問題を重視しており、途上国向け支援の強化や森林保護のための基金の創設などを目指している。近年のCOPでは議論が具体策にシフトし、各国の立場の違いから合意形成が難航。とくに足元では、米国トランプ政権が環境政策を転換、パリ協定からの再離脱を宣言し、途上国支援も縮小しており、気候変動対応の国際的な機運低下も懸念される。本年2月が提出期限であった、パリ協定に基づく各国目標(NDC)の提出は2割にとどまり、各国における気候変動対応の優先度の低下や、国際的な機運低下が影響している可能性。国連は期限を9 月に延長、国連総会までの提出を要請しているが、各国が9月までに提出するか、また、目標の引き上げが広がるか要注視。COP30 で想定される主な論点は以下。①途上国支援の強化深刻な資金不足を受けて、COP29で「1.3兆ドルへのロードマップ」設立。米国が支援を縮小するなか、民間・中国など支援者を広げられるか。②グローバル・ストックテイク(GST)に基づく具体策の強化COP28で実施した、世界の取組状況を検証するGSTを各国施策等に反映させる枠組みを構築できるか。③適応策の世界目標(GGA)具体化適応策の推進に向けて、進捗等を定量的に把握する指標群の選定など、具体的な枠組みを構築できるか。近年のCOPでの議論や足元の国際情勢を踏まえれば、途上国支援や具体策の強化で大きな成果は期待しにくいのが実情。わが国やEU は、COP30議長国のブラジルや中国などと連携して、具体策等の合意形成を図るとともに、中長期的な観点から、今後の国際連携のあり方についても議論していくことが求められる。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)