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リサーチ・フォーカス No.2025-035

減少するわが国の平均労働時間 ―労働生産性の向上や規制の見直しが課題 ―

2025年09月11日 小方尚子


わが国の雇用者1人当たり平均労働時間は、コロナ禍前から大きく減少している。平均労働時間の減少幅(2018~25年)のうち、7割は正規雇用者の時短、3割は非正規雇用者の時短であり、特に若年層の時短幅が大きい。これに対して、雇用者の構成比の変化は総じてみれば平均労働時間に影響していない。内訳をみると、労働時間が短い高齢者の増加が全体を相応に押し下げている一方、女性の正規雇用化が全体を押し上げており、双方の効果が打ち消しあう構図となっている。

このような動きの背景として、①働き方改革関連法施行で、時間外労働規制などが厳格に運用され、若年層を中心に正規雇用の時短が進んでいること、②賃金上昇により非正規雇用の就業調整の動きが強まっていること、③「すきまバイト」など柔軟な働き方が広がっていることが挙げられる。

労働時間の減少は供給制約を強めている一方、労働生産性にはプラス・マイナス両面の影響がある。「働きすぎ」の是正が労働生産性にプラスに作用するものの、職種や年齢によっては職場内訓練の減少などを通じて、マイナスに作用する可能性がある。

労働時間の減少への対応として、まずは労働生産性の改善に向けた取り組みを強化していく必要がある。わが国よりも労働時間が短いにもかかわらず、1人あたり所得が多い先進諸国は多く、こうした国へのキャッチアップが求められる。さらに、労働時間規制については、現状の規制では、業務実態に見合わない高度専門職への規制を見直す余地がある。また、生産性の改善に向けて、長時間労働を是正すべき分野への対応や、1週間単位の有給取得の義務化といった取り組みも検討課題である。


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