リサーチ・アイ No.2025-088 「金利のある世界」で動き出す預金 ― デジタル化やサービス多様化で広がる預金獲得力の格差 ― 2025年09月10日 大嶋秀雄昨年来、日銀の金融政策修正で預金を取り巻く環境が一変。金利上昇で預貸ビジネスの収益性が改善するとの見方から、多くの金融機関が預金獲得キャンペーンを強化。現状、預金移動は小規模ながら、追加利上げで金利が上昇するなか、足元で個人の定期預金が増加に転じるなど、預金者行動は徐々に変化。オンラインサービスの普及等で預金移動のハードルは下がっており、今後、金利が一段と上がれば、預金移動が本格化する可能性。近年、金融機関の預金獲得力の差が拡大。預金全体は増加しているが、業態別では、大手行・大手地銀・ネットバンク等が増加する一方、ゆうちょ・JAバンク・小規模地銀は減少。足元では、事業会社がBaaS(Banking as a Service)機能を活用してプラットフォームとして金融機能を提供するなど、競争領域が多様化。今後、預金移動が本格化した場合、預金獲得競争に拍車がかかり、競争力が劣る金融機関からの預金流出が加速する恐れ。短期的には優遇金利等で預金を確保できても、調達コストは割高になり、持続的とはいえず。預金獲得力が劣る中小地銀等は、安定的な預金確保に向けて、サービスの品質向上や多様化等を進め、顧客ロイヤリティを高めていくことが不可欠。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)