リサーチ・アイ No.2025-086 2025年上半期の出生数は▲3.1%減 ―減少の主要因は有配偶出生率の低下― 2025年09月10日 藤波匠厚生労働省の人口動態統計によれば、2025年上半期の出生数(外国人を含む速報値)は、前年同期比▲3.1%減の約34万人で、過去最少であった。日本人の年間出生数(同統計の概数に相当)に換算すると、▲3.5%減の66万人程度。22~24年は▲5%を超える減少率で推移してきたことを踏まえれば、急速な減少にはややブレーキがかかった。減少ペースが緩やかとなった要因は、20~35歳の若年人口と婚姻数の下げ止まり。足元、若年人口が横ばいで推移しているのは、1990年代に出生数が毎年120万人で安定していたことによる。コロナ禍で大きく減った婚姻数も下げ止まった。なお、25年の婚姻数は再び減少する見込みだが、その影響が出生数に現れるのは2~3年後となる。出生数は、①[有配偶出生率]×②[有配偶率]×③[人口]で表され、②と③にかかわる婚姻数、若年人口はともに横ばいであることから、25年上半期の▲3%を超える減少は、主として有配偶出生率の低下によるもの。これは、有配偶女性が産む子ども数の減少を意味しており、若い世代の出生意欲の低下を示唆。その背景には、経済・雇用環境、ジェンダー問題への対応の遅れなどがあるとみられる。政府・自治体は、若い世代が結婚・出産に前向きになれる環境づくりに注力すべき。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)