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リサーチ・フォーカス No.2025-031

わが国における新規株式公開(IPO) 市場の動向とグロース市場改革

2025年08月21日 谷口栄治吉田剛士


東京証券取引所(東証)グロース市場は、わが国の新規株式公開(IPO)件数の7割弱を占める本邦最大のIPO 市場。個人投資家中心の市場構造で流動性が低く、上場企業の企業規模の小ささや相対的な株価の伸び悩みが課題に。

こうしたなか、本年4月、東証はグロース市場改革案を公表。同市場を「高い成長を目指す企業が集う市場」と再定義し、上場維持基準の見直し(「上場後10 年経過後時価総額40 億円以上」から「上場後5年経過後時価総額100 億円以上」へ引き上げ)等を提言。

グロース市場改革を通じて、上場するスタートアップの時価総額が高まれば、機関投資家の投資対象になり、成長に資する資金調達が容易になると期待される一方、IPO のハードルが高まることで、スタートアップの出口戦略が難航するリスクも存在。今後、わが国のスタートアップ・エコシステムの活性化につなげていくために、以下の3点が重要に。

① スケールアップに繋がるグロース市場改革の着実な実行と効果検証
上場維持基準の見直しをはじめとする政策パッケージを着実に実行するとともに、「小粒上場の多さ」や「上場ゴール問題」といったわが国のIPO 市場の課題解決につながるか、成長力のあるスタートアップの出口戦略を阻害していないか等、効果を検証することが肝要。

② 出口戦略および企業価値向上策としてのM&Aの促進・支援
今後は、非上場のスタートアップにとっての成長戦略や出口戦略、グロース市場上場後の企業価値向上策として、M&Aが重要な選択肢に。金融機関としては、アドバイザリー機能の発揮に加えて、統合作業(PMI)に係るノウハウの提供により、スタートアップに係るM&A を支援することが求められる。

③ 非上場企業の資金調達環境の整備
上場のハードルが高まるなか、非上場企業の資金調達環境の整備が重要。国内機関投資家による資金提供の促進や、個人投資家に対する投資機会の提供等を通じて、発行市場、流通市場の双方で非上場株式取引を振興していく必要あり。


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