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リサーチ・アイ No.2025-062

日米関税交渉が妥結、わが国の景気後退懸念は緩和 ― 平均関税率の低下幅は限定的ながら、自動車関税引き下げの影響は大 ―

2025年07月24日 藤本一輝


日米関税交渉は、自動車関税率・相互関税率ともに15%で交渉妥結。現行の関税率と比較すると、自動車関税率の引き下げ(▲10%)と相互関税率の引き上げ(+5%)が相殺されることで、平均関税率の低下幅は限定的。試算では、交渉妥結後のわが国の対米輸出額は、トランプ大統領就任前の低関税時と比較して▲3.2~4.5兆円下振れ。その減少幅は相互関税率25%の場合と比べれば縮小するものの、現行の関税率の場合とほぼ変わらず。

もっとも、実際は以下2点の要因から、交渉妥結はわが国景気に対してプラスに働くと予想。第1に、不確実性の後退。不確実性の高まりは、設備投資をはじめとする企業の意思決定を躊躇させる傾向。関税交渉の妥結により不確実性が低下し、設備投資などに対する下押し圧力が緩和する見込み。

第2に、わが国自動車メーカーの価格競争力の向上。日本からの輸入車に対する関税率は15%に低下した一方、メキシコ・カナダを含む他国からの輸入車への関税率は25%のまま。わが国メーカーの米国販売車の約8割は、米国で現地生産または日本から輸入しており、他国メーカーに比べて割安で調達することが可能に。こうした価格競争力の高まりから、わが国メーカーが米国でのシェアを高める可能性も。裾野の広い自動車産業の業況改善は、他業種にも波及する公算。

上記の押し上げ要因を勘案し、2025年度のわが国の実質GDP成長率は+0.4%と、前年度の+0.8%から鈍化するものの、プラス成長を維持すると予想。景気の大幅な落ち込みは回避へ。


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