リサーチ・アイ No.2025-053 公共サービス価格が上昇トレンドへ転換 ― 価格引き上げ姿勢を強める国・自治体、日銀の利上げを後押しする可能性も ― 2025年07月09日 藤本一輝わが国の公共サービス価格は緩やかに上昇。基調的な動き(刈込平均)をみると、足元にかけて前年比+1%台半ばまで伸びが拡大。この動きは、消費増税の影響を除けば、ほぼ据え置かれてきた過去30年間のトレンドが転換期に入っていることを示唆。公共サービス価格が上昇した主因は、価格改定に国の認可や届出を要する「一部規制価格」の高まり。「一部規制価格」には運賃や各種保険料が含まれており、事業者による価格転嫁の動きを、国が許容したことが価格上昇の背景。一方、国や自治体が法律などで価格を決める「完全規制価格」の上昇は限定的。「完全規制価格」には、診療代や水道代が含まれており、消費者が物価高で苦しむなか、国や自治体はこれら価格の引き上げを抑えている可能性。先行き、国や自治体が「完全規制価格」の引き上げに動くことで、公共サービス価格は伸びを拡大する見込み。「骨太方針2025」には、物価上昇に合わせた公的制度の点検・見直しとして「公定価格(医療・介護・保育・福祉等)の引上げ」が明記。こうした方針転換の背景にはコストの増加。ここ数年、公営企業では、賃上げ幅が全体を下回っていることから、医療・介護、教育などの分野における人手不足感が強まっており、労働者の待遇改善が急務。加えて、設備の面でも、水道管などのインフラ改修費用の調達が課題に。サービス価格は価格改定頻度が少ないことから、基調的な物価変動とみなされやすい傾向。価格改定が集中する4、10月や、診療報酬の改定が予定される2026年度に公共サービスが伸びを高めることで、日銀の利上げの再開・継続を後押しする可能性も。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)