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ビューポイント No.2025-011

わが国におけるEBPM 推進の課題と対応策 ― EBPM を支えるエコシステムの構築を目指して ―

2025年07月03日 井上肇


わが国は、厳しい財政状況や少子高齢化をはじめとする多様で複雑な政策課題に直面しており、限られたリソースを有効に活用するために、EBPM(証拠に基づく政策立案)の重要性が高まっている。EBPMは政策の目的や論理を明確にし、エビデンスに基づいて政策を検証・改善する手法である。

EBPM推進に向けた制度整備が進む一方、専門人材の不足・データ基盤の未整備・府省庁間や国・地方間の連携不足・評価結果の不十分な政策反映などが課題である。海外では、専門人材のネットワーク整備や政策評価と予算配分の制度的連携などによりEBPMを効果的に実践している。

わが国でEBPMを持続的に推進し、政策評価の質を高めるには、行政機関内での専門人材の計画的育成に加え、大学やシンクタンクなど外部機関を含む広範な関係者の参加や官民の人材交流(リボルビングドア)を通じて知見と人材が継続的に循環する仕組みを構築することが重要となる。また、府省庁間・自治体間で共有できるデータ基盤の整備や、政策評価の結果を予算編成や政策改善に確実に反映する仕組みづくりも求められる。同時に、AI(人工知能)やデジタル技術を活用した効率的な評価・分析体制の強化、第三者的視点の活用、法的基盤の整備など、制度的環境を一層高度化していくことも重要である。

今後、わが国がEBPMを着実に浸透させるためには、政策評価と予算・政策改善の連携を強化しつつ、官民を超えた評価・分析のエコシステムを構築するとともに、行政組織内にEBPMを実践する文化を醸成する包括的な取り組みが不可欠である。これにより、政策改善サイクルが強化され、政策効果の向上と効率的な資源配分が進むことが期待される。


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