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リサーチ・フォーカス No.2025-023

岐路に立つ米国のクレジットサイクル~トランプ政権が高める”本格的な後退期入り”リスク~

2025年06月20日 大嶋秀雄


企業や家計の債務が資金需給の変化等に伴って増減することをクレジットサイクルと呼ぶ。とくに、拡大期から後退期への転換では、不良債権の増加等を伴って実体経済にも悪影響を及ぼし、2008年のような金融危機につながる恐れも。過去の米国の景気後退の多くは、クレジットサイクルの転換と同時に発生。

現在の米国の金融環境をみれば、22年以降のFRBによる大幅な利上げによって債務抑制圧力が強まっており、企業・家計債務名目GDP比は低下。一方、米国経済は堅調さを維持し、企業倒産・クレジット市場は比較的落ち着いており、クレジットサイクルは”緩やかな後退期”

先行きは、インフレ鈍化と利下げで軟着陸する可能性がある一方、金利が高止まりするなか、企業倒産が徐々に増加しており、これから本格的な後退期入りする可能性も。米国のクレジットサイクルは岐路に。

今後は、トランプ政権の政策運営による“本格的な後退期入り“に要警戒。震源となりうるのは以下。
①関税等による経済ショック
関税・財政政策等によるインフレや物流混乱、不確実性の高まりによる金融市場の混乱や企業の経営判断の困難化等で消費・投資が委縮、経済ショックを引き起こす懸念。
②金融政策判断の遅れ
トランプ政権の関税政策等で物価・雇用の予測が困難化。FRBはフォワードルッキングな政策判断が難しくなっており、過度な金融引き締め等につながる恐れ。
③ノンバンク(NBFI)の経営不安
米国は流動性等に懸念のあるNBFIの規模が大きく、銀行によるNBFI向け融資も拡大。経済ショック等でNBFIの経営が不安定化すると、銀行にも波及する恐れ。
④中小銀行の経営不安
経済ショックや金融引き締めによって不動産融資等が不良債権化すると、不動産融資を増やしてきた中小銀行の経営不安に。預金流出等による連鎖破綻の恐れも。


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