リサーチ・アイ No.2025-042 日銀短観(6月調査)予測 ― 米関税引き上げによる業績悪化懸念で小幅悪化 ― 2025年06月18日 藤本一輝7月1日公表予定の日銀短観(6月調査)では、景況感は小幅悪化する見込み。全規模・全産業の業況判断DIは、3月調査対比▲1%ポイント低下すると予想。業種別にみると、大企業・製造業の業況判断DIは、前回から横ばいとなる見通し。米関税引き上げに伴う業績悪化に対する懸念や、米国の経済政策を巡る不透明感の高まりなどが機械産業を中心に景況感を下押し。一方、原材料価格の落ち着きを受けた素材系産業の業況改善が全体を下支えする見込み。大企業・非製造業の業況判断DIは同▲1%ポイントと、やや低下すると予想。堅調なインバウンド需要や家計の所得環境の改善が下支え要因となるものの、人手不足や物価高が重石に。加えて、卸売や電気・ガス、運輸といった製造業との取引が多い業種では、米関税引き上げによる業績悪化への懸念が高まる見込み。先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査から▲1%ポイントの悪化を予想。製造業では、引き続き米国の関税引き上げに対する懸念が景況感を下押しする見通し。足元の資源価格の上昇などを受けて、素材系産業でも先行きの見方が慎重化する公算。一方、夏場にかけて物価が鈍化することで消費者マインドが改善し、対面サービスなどを中心に非製造業の景況感は幾分持ち直す見込み。2024年度の設備投資額は、全規模・全産業ベースで前年度比+7.6%での着地を予想。2025年度の設備投資計画は、全規模・全産業ベースで前年度比+3.1%と増勢を維持するものの、3月調査からの上方修正幅は例年対比で控えめとなる見込み。米国の経済政策を巡る不確実性の拡大が製造業を中心に設備投資を下押し。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)