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Economist Column No.2025-018

骨太方針の中での地方創生2.0~産業強化と広域リージョン連携を推進すべき

2025年06月16日 石川智久


■地方創生2.0は石破政権の看板政策
石破総理は、かつて内閣府担当大臣(地方創生)を務めるなど、地方創生をライフワークとしてきた。そうした経緯から、石破総理の初の「経済財政運営と改革の基本方針(以下、骨太方針)における看板政策は、地方創生2.0である。骨太方針の中では、地方創生について、10年後に目指す姿(社会像)として定量的な目標を示した基本構想をとりまとめ、「政府全体で『地方創生2.0』を『令和の日本列島改造』」として力強く進めていく」と宣言している。

■産業競争力強化と広域リージョン連携に言及
これまでのわが国の地方創生は、補助金のバラマキ的な色彩が強い一方、産業競争力強化の視点は弱かった。その意味で、今回の骨太方針において「稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創生」と銘打って産業競争力を強化する姿勢を強めたことは、好ましい変化として評価できる。また、都道府県を超えた広域リージョン構想の推進も、自治体の壁を乗り越える取り組みとして評価されよう。

■具体的な構造改革推進を
もっとも、肝心なのは具体的な行動である。これらの政策が効果を発揮するためには、産業や地方の構造改革が当然ながら求められる。
産業競争力強化の観点からは、農林水産業の成長産業化が明示されており、昨今の価格高騰・品不足を背景にコメ政策の見直しが示されている。コメ不足を解消するためには供給力の拡大、すなわちコメの増産が必要である。そして、余りが出た場合には輸出に回すことで、稼げる備蓄にすることが望ましい。そのためには、これまでのような農業の保護政策ではなく、農業の大規模化やアグリテックなどで農業の生産性を高めるといった国際競争力の強化が重要である。
また、広域リージョン連携については、わが国で都道府県を超えた広域自治体はこれまでのところ関西広域連合のみであり、これを各地域に広げ、広域自治体間で健全な競争が起こることが望ましい。そうした動きが中長期的には、足元で低調な「道州制」の議論の活性化につながっていくことが期待される。



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