リサーチ・アイ No.2025-032 スペイン高成長を紐解く3つのポイント ― 移民・観光・グリーン投資が景気をけん引 ― 2025年05月30日 中井勇良、立石宗一郎ユーロ圏経済が全体として勢いを欠いているにもかかわらず、スペインは高成長を維持。スペインの2024年の実質GDP成長率は前年比+3.2%と、ユーロ圏全体(同+0.9%)と比べて高い伸びに。背景として以下3点が指摘可能。第1に、移民流入の増加。スペインは積極的に移民を受け入れており、移民に厳しい姿勢を強めるドイツやフランスとは対照的。コロンビアなどの南米や北アフリカから移民が多く、2023年の移民流入数は人口対比で2.5%と高水準。こうした移民増加による労働供給の増大が経済を押し上げ。スペインの労働統計によると、2024年の新規雇用者数のうち、外国生まれと二重国籍の労働者が約9割を占める状況。第2に、インバウンド需要の高まり。世界有数の観光大国であるスペインはGDPの約6%を旅行サービス輸出に依存。2024年のスペインへの旅行者数は9,376万人と、前年から10%程度増加したほか、観光宿泊施設での総滞在日数も年間5億日と、ユーロ圏全体の2割弱を占める水準。第3に、欧州復興基金による投資拡大。とりわけ、コロナ禍による打撃が深刻であったスペインやイタリアに多額の復興基金が割り当て。2024年までの欧州復興基金の支出額をみると、スペインはGDP比約2%であり、そのうち半分近くをグリーン投資が占めている状況。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)