リサーチ・フォーカス No.2025-009 安定的な預金確保に向けて地銀に求められるリテール戦略の見直し 2025年05月13日 大嶋秀雄これまで、わが国の銀行セクターでは預金が“余る”状況が続いていたが、日本銀行の金融政策の修正で預金を取り巻く環境が一変。預貸ビジネスの収益性が改善するとの見方から、貸出の原資となる預金の確保が重要となり、多くの金融機関が上乗せ金利等の預金獲得を狙った取り組みを強化。とくに地銀では、地域における人口減少の加速や、ネットバンク等との競争激化に加え、利上げに伴う住宅ローンの繰り上げ返済の増加やインフレ、証券投資増加による個人預金の流出など、様々な要因が交錯するなか、先行き預金の減少が懸念され、安定的な預金基盤の確保が喫緊の課題に。今のところ預金移動は限定的ながら、今後、「金利のある世界」への回帰が進むなか、預金移動が本格化する公算。その場合、預金の獲得・流出防止のために、預金獲得競争が一段と激化する可能性も。もっとも、上乗せ金利等で獲得した預金は、調達コストが割高であるほか、利得性の高い他行キャンペーンで流出するなど粘着性も低い。地銀は、安定的な預金=顧客基盤の確保に向けてリテール戦略の見直しが必要。①地銀の強みを活かした顧客リレーション強化対面チャネルや地域企業のネットワークといった地銀の強みを活かしたアプローチを展開し、顧客とのリレーションを強化。②成長投資によるビジネスモデルの差別化人材・システムへの投資やM&A等を通じたデジタル分野の強化とともに、対面サービスの品質向上や非金融サービスの展開等を進め、顧客接点の多様化・強化やビジネスモデルの差別化を推進。③店舗戦略の見直し地銀にとって店舗網は競争力の源泉であり、メリハリの利いた店舗戦略が必要。キャッシュレス化をはじめ、新たな店舗形態を開発・展開も重要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)