リサーチ・フォーカス No.2025-004 トランプ関税によるインド経済への影響考察―生産移転のチャンスとなるも、為替やIT産業への間接影響に要警戒― 2025年04月17日 細井友洋米国トランプ政権は4月2日に相互関税を導入し、中国に対する145%の上乗せ関税率を筆頭に、多額の対米貿易黒字を抱える国・地域を中心に、大幅な関税引き上げを表明した。世界経済でのプレゼンスを高める成長著しいインドに対しても、26%という高い上乗せ関税率が設定されており、トランプ関税がインド経済にどのような影響を与えるのか、注目が集まっている。トランプ関税によるインド経済への影響は、直接・間接両面で想定される。まず、関税による輸出減少を通じた直接影響は限定的となる見通しである。①インド経済が内需主導型であること、②インド政府が対米協調姿勢を取っていること、③トランプ関税を受けた世界的なサプライチェーンの再編のなかで、中国からインドへの生産移転の加速が見込まれることが要因である。他方、関税に起因する間接的な要因がインド経済を下押しするリスクには警戒を要する。具体的には、①通貨安による内需低迷と金融システム不安定化、②トランプ政権のIT産業重視の姿勢からの方針転換、が挙げられる。わが国企業にとってもインドは重要な市場であり、こうしたトランプ関税による直接・間接の影響を踏まえつつ、今後新たなグローバル・サプライチェーンにおいて一層の存在感を発揮するインドと連携を深めていく必要がある。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)