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リサーチ・フォーカス No.2025-003

【サプライチェーン再編シリーズ④】
トランプ関税がもたらすサプライチェーン再編の再考―米国は関税政策に経済の命運を賭けるも、「脱・米国依存」を招く事態に―

2025年04月09日 野木森稔


米トランプ大統領は4月2日に大幅な関税引き上げを発表した。同大統領とその政権の閣僚は通商分野へ強硬な考えを持ち、貿易赤字削減・重要産業保護を目標とし、関税を政策の柱とする。目標に向け強硬姿勢を強めており、その矛先は、多くの国が懸念を強める中国だけでなく、全ての国に向かっている。

実際に発動されたトランプ関税の内容をみても、政権の貿易赤字削減・重要産業保護への優先順位の高さが表れている。「相互関税」は貿易赤字と連動する形で設定され、友好国かどうか関係なく貿易赤字国すべてに圧力を強めている。自動車など10 産業を保護すべき産業とし、品目別でも関税を発動実施または検討している。

経済にも極めて大きな影響をもたらし、ギャンブルとも言える米国の関税政策の発動であるが、トランプ政権がその方針を大きく変える兆しはない。交渉でも、関税の大幅な引き下げを勝ち取ることは難しい状況のなか、各国は米国との貿易関係の優先度低下を避けられない状況にある。今後は、各国企業が米国での「地産地消」の強化を一定程度進めることになるとみられるが、米国製造業の高コストが大きな課題となる見込みである。また、各国政府はCPTPPなど広域的な経済連携協定を重視することになり、「脱・米国依存」を進めざるを得ないと考えられる。

わが国においても、国際的な経済のつながりとして、「脱・中国依存」のみならず、「脱・米国依存」にも言及していく必要がある。欧州や豪州など先進国に加え、インドや東南アジアを含むグローバルサウスとの連携も強化することによって、サプライチェーン再編を再考していく必要がある。


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