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リサーチ・フォーカス No.2024-070

タイ自動車産業における中国EVの攻勢 ―在タイ日本自動車メーカーに大きな脅威―

2025年03月25日 森田一至福田直之


中国製電気自動車(EV)メーカーがタイの自動車産業で存在感を急速に高めている。中国EVメーカーがタイで工場を相次いで建設している背景には、①中国国内におけるEVの過剰供給、②西側諸国による中国製EVへの関税引き上げ、③タイ政府によるEV振興策の積極化、がある。それに付随してタイでは、多くの中国系部品サプライヤーも進出しており、中国系自動車サプライチェーンが着実に構築されている。

こうした動きは、在タイ日本自動車メーカーにとって脅威と言える。タイではこれまで、日本メーカーが市場シェアをほぼ独占し、圧倒的に優位であった。しかし、中国メーカーの攻勢に加えて、近年、タイでは家計債務の増大で自動車ローン審査が厳格化しており、自動車需要が低迷している。日本メーカーは市場シェアの低下と市場規模の縮小という二重苦に直面している。

日本メーカーが中国メーカーにタイ市場のシェアを奪われ続けた場合、近隣の東南アジア諸国をはじめ、タイを輸出拠点とする多くの市場でも同様の事態が生じる恐れがある。わが国自動車産業がタイだけでなく世界市場での優位性を失わないためには、官民が連携して競争力の強化やサプライチェーンの再構築といった戦略的な対応を進めていくことが必要である。

具体的には、日本政府の戦略として、①日本メーカーの対タイ投資促進と政府間対話の強化、②競争力強化に向けた支援の拡充、③新産業分野での日タイ協力促進、が必要となろう。また、メーカーサイドでは、①EV市場への迅速な対応と競争力向上、②サプライチェーン強化、③BCG産業等新規市場での事業展開、を戦略的に進めていく必要があろう。


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