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【DXインサイト】
BtoC向けビジネスを展開する企業のデジタルマーケティングに関する問題意識等の調査に係る実施報告

2025年02月21日 成瀬忠谷口卓也


1.背景
 BtoC向けビジネスを展開する企業の多くは、デジタルマーケティングに取り組みたいと考えているものの、何から着手して良いか分からずに悩んでいる。“取り組みを進められないのは、「戦略・方針、組織・体制(人材含む)、手順・方法、IT環境」等の仕組みが整備されていないことが大きな要因のひとつになっているのではないか“という仮説を持っている。また、この悩みは、いずれの企業規模でも同じ内容だが、「年商規模が小さいほど、より深刻なのではないか」と考えている。
 上記のような背景から、今回、BtoC向けビジネスを展開する企業のデジタルマーケティングに関する問題意識、取り組みが進まない要因、会社規模・業種による違い等の仮説検証と問題解決のためのアプローチを検討するために、Webアンケート調査を実施した。

2.調査概要
①調査対象
 BtoC向けビジネスを展開する企業の社員、役員、経営者1,000人

②調査項目
 ・デジタルマーケティングの取り組み状況
 ・デジタルマーケティングに関する問題意識とその要因
 ・デジタルマーケティングの領域で将来実現したいこと ※
 ・デジタルマーケティングまたは顧客データを管理するシステム・ツールの導入有無  ※
 ・導入済のデジタルマーケティングまたは顧客データを管理するシステム・ツール名  ※
 ・システム・ツールの導入無しの場合、その理由  ※
   ※本記事では調査結果を掲載しておりません。詳細は日本総研ウェブサイトよりお問い合わせください。

3.調査結果の概要
①デジタルマーケティングに関する問題意識
 BtoC向けビジネスを展開する企業では、施策立案や実行段階よりも、現状把握・分析段階の問題意識を抱えている企業の割合が高い傾向が見られた。(図1参照)



 年商規模別では、規模が小さい企業ほど、現状把握・分析段階の問題意識を抱えている傾向があり、規模が大きい企業ほど、実行段階での問題意識を抱えている傾向が見られた。(図2参照)
 一方、業種別では、問題意識の傾向に大きな違いは見られなかった。



②デジタルマーケティングが進まない要因
 デジタルマーケティングが進まないのは、「戦略・方針、組織・体制(人材含む)、手順・方法、IT環境」等の仕組みが整備されていないことが大きな要因のひとつではないか、という仮説を検証した。いずれの仕組みの要素も、デジタルマーケティングが進まない要因に「当てはまる」、「どちらかといえば当てはまる」と回答した人が65%以上と高い割合であった。(図3参照)



 年商規模別では、規模が小さい企業は、規模の大きな企業と比べて、「戦略・方針、組織・体制(人材含む)、手順・方法、IT環境」等の仕組みが不十分であると感じている傾向が見られた。いずれの項目も企業規模が小さくなるほどデジタルマーケティングが進まない要因であると感じている割合が高い。(図4参照)
 一方で、業種別では、問題意識の傾向に大きな違いは見られなかった。



4.調査結果から考えられるポイント
ポイント1:着手は、“トップダウンのコンセプト検討+ボトムアップの現状把握・分析”の両輪!

 規模が小さい企業ほど、「何かをしないといけないという問題意識はあるが、何から着手して良いか分からず、あまり取り組めていない」という着手段階での問題を抱える回答が多かった。(図2参照)
 着手にはトップダウンとボトムアップからのアプローチが考えられる。例えば、ボトムアップのみでアプローチする場合、現場で直面している問題点(手間が掛かる販促業務など)を中心に検討することになり、社内関係者の巻き込みや投資などについて、経営層の承認を得ることは難しいと考える。
 一方、日本総研の過去の支援事例から、早期に着手できている企業は、トップダウンとボトムアップの両輪でアプローチしていることが確認できている。トップダウンでは、全社の中期経営計画や事業戦略の中で、デジタルマーケティングの位置付けを整理し、どのような経営課題の解決や経営指標につながるのか、というコンセプト(目的・目標、今後の取り組みイメージ)を説明し、経営層と合意して実行体制を整えている。同時に、ボトムアップでデジタルマーケティングを推進するうえでの問題点を洗い出し、主要な問題点とその要因を社内関係者に説明できるように準備している。
 従って、トップダウンのコンセプト検討とボトムアップの現状把握・分析を両輪で進めることが重要である。

ポイント2:施策立案の段階で仕組みも検討!
 企業規模が小さくなるほど、「戦略・方針、組織・体制(人材含む)、手順・方法、IT環境」等の仕組みが不十分であると感じている傾向が見られた。(図4参照)
 デジタルマーケティングの取り組みによって、成果を獲得するには、施策立案の段階で、デジタルマーケティング施策だけなく、その施策を効果的に実行していくための仕組みも同時に検討することが重要である。例えば、デジタルマーケティングツールを導入するだけでは、施策の効果は十分に得られない。施策を効果的に実行していくためには、以下のように「組織・役割分担」、「制度・ルール」、「業務プロセス」、「情報システム」の観点で抜け漏れがないかを検討することが不可欠である。(図5参照)



5.デジタルマーケティング推進の仕組みづくりを支援するサービスとは
 今回の調査結果から、BtoC向けビジネスを展開する企業は、デジタルマーケティングの取り組みにおいて、現状把握・分析段階に問題意識を抱えている割合が比較的高いことが分かった。また、「組織・体制(人材含む)、手順・方法、IT環境」等の仕組みが不十分と感じていることが分かった。
 この結果を踏まえ、BtoC向けビジネスを展開する企業では、単にデジタルマーケティングツールを導入するのではなく、デジタルマーケティングの取り組みにおける現状の本質的な問題点を明らかにすることや、施策を効果的に実行するための仕組みづくりにフォーカスを当てることが重要であると、筆者は認識している。このような取り組みを行う企業に対して、日本総研はこれまでも支援を行っており、特に重要なことは、前述の「4.調査結果から考えられるポイント」に記載した以下の2点である。
 ポイント1:着手は、“トップダウンのコンセプト検討+ボトムアップの現状把握・分析”の両輪!
 ポイント2:施策立案の段階で仕組みも検討!

一例として、このポイントを押さえたサービスの概略を紹介する。



①コンセプト検討
 企業にとってのデジタルマーケティングの取り組みの目的、目標と、今後の取り組みのコンセプトの検討を支援する。着手時に仮説ベースでの検討を行い、実行計画策定段階で見直す。

②現状把握・分析
 資料調査やヒアリング調査を行い、現状の検討ステージ・実施内容、デジタルマーケティングを推進するうえでの問題認識・ニーズなどを抽出する。顧客の行動や思考、感情の変化を時間軸で分析し、商品やサービス購入のプロセスと意思決定までのストーリーの「見える化」を支援する。デジタルマーケティングの取り組みにおける本質的な問題点を明らかにし、今後の取り組みテーマを設定する。

③施策立案・仕組みの検討
 顧客の現状把握、課題の設定、マーケティング施策の立案、効果検証に至るプロセスを効果的かつ効率的に推進するための仕組みづくりに向けた施策を立案する。

④実行計画の策定
 施策案を実行するためのスケジュール、推進体制、効果検証方法などを具体化する。



 以上のような仕組みづくりに取り組むことで、デジタルマーケティングの推進力が強化され、その結果として、効果的な施策の立案や着実な実行が可能になると考える。
※「デジタルマーケティング支援サービス」に関する資料も取りまとめておりますので、関心のある方は、日本総研ウェブサイトよりお問い合わせください。


以上

※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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