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リサーチ・アイ No.2024-111

わが国の新たな排出削減目標(NDC)と今後の課題

2025年02月21日 大嶋秀雄


2月18日、わが国政府は、パリ協定に基づく、新たな温室効果ガス(GHG)排出削減目標(NDC)を決定。具体的には、2035年度までに13年度比▲60%、40年度までに同▲73%削減。

パリ協定では、各国が自主的に目標を設定するが、自主的な目標ではパリ協定の1.5℃目標を達成できるとは限らず、各国に5年毎のNDC更新を求める。本年が更新年であり、従来のNDCでは1.5℃目標の達成が難しいため、国連は各国に目標引き上げを要請。加えて、わが国を含む多くの国のNDCは実現可能性が低いとして、NDC達成に向けた対策強化も要請。

わが国政府は、新NDCは1.5℃目標に整合的としているが、前回同様、50年脱炭素への直線的経路に過ぎず。また、NDCと併せて決定した地球温暖化対策計画において、30~40年度目標に関する施策やその想定効果を示しているが、全体としての排出削減の見通しは不透明。海外では、EUが政策効果に基づくGHG排出量の見通しを推計し、目標との乖離状況を評価。

今後、わが国政府にはNDC達成に向けた対策強化が求められる。もっとも、脱炭素は長期の取り組みで、技術・政策効果等の不確実性も高く、現時点で目標達成までの施策を全て示すことは困難。技術動向や政策効果に基づく排出量の将来推計や関連指標による政策効果検証を行い、政策を見直していく必要。また、わが国の排出量実績は速報性に欠くため(最新:22年度)、経済・産業統計や企業の排出量開示等から排出状況を把握する仕組みも要検討。機動的な政策運営で着実に排出削減を進め、次期NDCでの目標引き上げや脱炭素の早期実現につなげていく必要あり。


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