コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・フォーカス No.2024-064

わが国におけるGovTechの取り組み動向―地方自治体における先駆的な取り組み事例―

2025年02月12日 野村敦子


GovTech(Government Technology)とは、公共部門のデジタル化や DX の取り組みを技術的に支え実現する基盤である。世界的には、GovTech 分野において公共部門と民間部門がオープンイノベーションを推進する動きが活発化している。もっとも、わが国では多くの自治体や公共部門の職員において GovTech という言葉自体が認知されていないのが現状である。そこで、本稿では先駆的な事例として、兵庫県・神戸市ならびに東京都における GovTech の取り組みを取り上げた。

わが国では、GovTech の発端となる電子政府・電子自治体やデジタルガバメントへの取り組みは 2001 年の e-Japan 戦略から始まっている。しかしながら、行政のデジタル化が本格的に進んだのは、2020 年の新型コロナの感染拡大を受けてのことであり、非接触・非対面の行動様式を余儀なくされたことによるものであった。

行政のデジタル化や DX が国の重点施策とされたことと相俟って、国などによるGovTech に関連したイベントの開催、海外動向の調査なども実施されている。国の DMP(Digital Market Place)やデジタル田園都市国家構想総合戦略・同交付金などは、広義の GovTech を支援する仕組みと捉えることができる。民間においても、GovTech 分野のスタートアップや関係者により、Govtech 協会が発足している。

地方自治体においても、組織内における GovTech の推進がこれからの行政運営に不可欠との考えから、いくつかの自治体でこれに注力する動きが出てきている。例えば、兵庫県神戸市はスタートアップの育成・集積に注力してきたが、2017 年よりスタートアップと市職員が地域の課題解決に向け協働して取り組む「Urban Innovation KOBE」(2024 年より官民連携課題解決プログラム「So-I」として内容を一新)を実施している。東京都は、2023 年に DX に向けた官民協働プラットフォームとして GovTech 東京を設立している。GovTech 東京は、都と都内区市町村の DX を支援するほか、デジタル人材の確保・育成、システム・サービスの共通化・共同化などを推進している。

両自治体の取り組みの共通の特徴として、①現場の行政職員が当事者として主体的に関与していること、②官と民の人材交流・人材循環の起点として機能していること、③デジタル公共財の考え方を踏まえ横展開を意識していること、などが指摘できる。こうした自治体の事例も踏まえ、全国で GovTech に対する認識・活動を定着させていくためには、OECD の「OECD GovTech ポリシーフレームワーク」など国際的な動向も参考に、①体系的かつ持続的な取り組みとするためのフレームワーク、②スタートアップの巻き込みと自立自走できるモデルづくり、について検討・実施していく必要があろう。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ