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リサーチ・アイ No.2024-99

トランプ2.0による印IT・BPOビジネスへの悪影響は限定的 ― ITビジネスを重視するトランプ政権、GCCのインドへの立地拡大がむしろ追い風に ―

2025年01月31日 細井友洋


米国では、反移民政策派を中心に、専門職向けの就労ビザ厳格化の議論が再燃。第一次トランプ政権では、H-1Bビザ(専門職向けの一時就労ビザ)の発給が厳格化され、申請却下率が上昇。その大半を占めるインド人の渡航に大きな影響。当時、インドの主要IT企業は米国に多くのITエンジニアを派遣し、IT・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)ビジネスを拡大していたため、発給厳格化は、それらの企業の業績悪化と株価低迷を招来。

もっとも、第二次トランプ政権では、インドのIT・BPOビジネスへのマイナス影響は限定的になる見通し。むしろ、以下の2点を背景に、米国の政策はインドの関連ビジネスの追い風となる可能性も。

第一に、トランプ大統領を支える実業家イーロン・マスク氏の存在。同氏は、「H-1Bビザは米テック企業の競争力維持に欠かせない」と主張するなど、発給が厳格化するリスクは低下。AI関連投資は現下の米国経済のけん引役となっており、むしろ、ITビジネスの活性化を企図した規制緩和に取り組む公算大。トランプ政権はすでに、バイデン前政権下でのAI規制に関する大統領令を撤回し、国際的なデジタル課税の枠組みからの離脱を表明。

第二に、GCC(グローバル・ケイパビリティ・センター)の拡大。近年、米国を中心とするグローバル企業はインドの豊富なデジタル人材を活用するために、IT・BPO分野のインド向け直接投資を拡大。これにより、インドでは海外企業向けのソフトウェア開発やBPOを一手に担うGCCが増加しており、インドから米国へのIT・BPO輸出がコロナ禍以降のデジタル化の進展を受けて急増。今後も、H-1Bビザへの規制如何を問わず、インドにおける関連ビジネスは一層拡大する見通し。


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