リサーチ・アイ No.2024-087 中国依存を強めるタイ自動車産業 ―タイ政府のBEVへの傾倒が日系自動車メーカーへの逆風に― 2024年12月26日 森田一至タイでは、自動車生産拠点としての地位強化や投資誘致を目的に、政府がバッテリー式電気自動車(BEV)に特化した振興策を推進。その結果、BEVに強みを持つ中国企業からの自動車輸入が増加し、新車販売に占めるBEVの割合は急激に上昇。タイの消費者は近隣諸国と比較してBEVを好む傾向があることも、BEVの普及を後押し。タイでは、中国製BEVの生産能力が増強されており、今後も販売が増える見通し。振興策は、国産化要件を含んでおり、補助金の供与や税制優遇を受ける条件として、輸入台数に比した一定の台数を国内生産することを義務付け。これを受け、2023年以降、中国勢は相次いでタイに工場を新設。日本勢が強みとするハイブリッド自動車(HV)への補助が弱いこともあり、日本からの投資は伸び悩む一方、中国からの自動車関連投資は増加基調。中国車のシェア伸長で、タイにおける日本車のプレゼンスがさらに低下する可能性も。日系企業の自動車販売シェアは2022年ごろからすでに低下傾向。仮に、中国企業がBEVで高い競争力を保持したまま、新車販売に占めるBEVの割合が2026年にかけて30%へ上昇する場合、日系企業のシェアが約6割に後退する一方、中国企業のシェアが約3割に高まる見込みタイ政府の政策がBEVに傾倒するなか、日系自動車メーカーがタイでの市場シェア低減を食い止めるためには、BEVの強化も検討課題。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)