リサーチ・アイ No.2024-086 中国、都市部の消費低迷が鮮明 ― 雇用・所得環境の悪化、逆資産効果、将来不安が下押し要因に ― 2024年12月26日 呉子婧中国では、都市部の個人消費が目立って低迷。2024年1~9月期の小売売上高は北京(前年比▲1.6%)や上海(同▲3.4%)など主要都市で減少しており、全国平均(同+3.3%)よりも弱い状況。この背景として、以下の3点が指摘可能。第一に、雇用・所得環境の悪化。北京・上海などの主要都市では、可処分所得の伸び率が全国平均よりも低いほか、若年層では失業者数も高水準。大都市では金融などサービス業が集積しており、これら産業への規制強化や業界不況の影響が雇用や所得を圧迫。第二に、逆資産効果。都市部では保有資産が大きい中高所得層が多く、総所得に占める財産所得の比率が大。不動産や金融資産などの価格が軟調に推移していることを受けて、都市部では消費意欲が低下している家計が多い模様。第三に、将来不安の強まり。とくに大都市では不動産市場の調整や雇用環境の悪化が先行きの経済成長に対する悲観的な見方につながっている状況。これを受けて家計の節約志向も高まっており、高級品の売れ行きが低調。ブランド品消費額の4分の1を占める北京・上海や離島免税政策で注目されている海南などでは、大幅な減益に直面する高級ショッピングセンターも。都市部を中心に飲食消費券の配布や地域イベントの開催などの消費喚起策が相次いで実施されているが、効果は限定的。政府による大型の消費喚起策が打ち出されない限り、個人消費の低迷は続く可能性大。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)