ビューポイント No.2024-031 (コメント)本日の日銀金融政策決定会合を受けて―政策金利は据え置かれたものの、利上げ局面は続く― 2024年12月19日 石川智久本日の日銀の金融政策決定会合では政策金利の据え置きが決定された。しかしながら、賃上げや物価の上昇傾向が続くほか、世界的にもトランプ政権の関税引き上げ等によるインフレリスクが燻るなか、金融政策が引き締め方向であることに変わりなく、早ければ来年 1 月にも追加利上げがあると考えている。その後は半年ごとに0.25%のペースで利上げをしていく可能性が大きい。これを受けて長期金利も緩やかな上昇傾向を辿るとみている。こうしたなか、我々としては、「金利のある世界」に対応できる態勢を作っていく必要がある。まず企業部門においては、全体としてみれば、バブル崩壊後の債務削減の努力等もあり、金利上昇への対応力が高くなっている。もっとも、部門別にみると、不動産業や小売業など債務が多いセクターもある。また大企業よりも中小企業の方が債務負担が重く、金利上昇に対して脆弱である。経済的な悪影響を最小化していく政策が求められる。家計部門においては、金融資産が 1,787 兆円の資産超過(2024 年 9 月末)となるなか、金利上昇はプラスの影響を与える。もっとも、二極化が進むリスクがある。具体的には、資産を多く抱える高齢者や富裕者層は金利上昇でメリットを受ける一方、住宅ローンなどの借り入れ負担が大きい勤労世帯で金利上昇は家計に負担となる。仮に住宅ローン負担が増えていけば、子育て世帯が経済的にひっ迫し、少子化が進む可能性がある。少子化を止める観点からも現役世帯や子育て世帯への政策面のサポートが求められている。そして金利上昇の悪影響が大きいセクターは政府部門である。先進国で最悪の財政状況となる中、財政再建は待ったなしとなっている。足元の税収増に安どすることなく、財政再建を進めていく必要がある。2025 年の日本経済の大きなテーマとしては、利上げ局面が続くなか、「金利のある世界」に対応した経済構造に変革できるかということとなろう。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)