ビューポイント No.2024-027 習近平政権の経済運営の特徴 ~一連の景気対策からの考察~ 2024年12月05日 枩村秀樹、佐野淳也中国政府は、不動産不況や消費不振などに起因する景気減速を受けて、2024 年秋口から矢継ぎ早に景気対策を打ち出した。しかし、タイミングが遅いうえ、景気の落ち込み幅に比して力不足であった。タイミングが遅れたのは、当初「中国経済光明論」に基づくマインド喚起で景気回復を狙ったためである。しかしその後、景気減速が一層深刻になり、社会不安の広がりが問題視されるようになると、慌てて金融・財政政策による景気刺激に舵を切った。有効な対策を打てない理由として、①大盤振る舞いの経済対策への厭忌感、②生産至上主義で消費は二の次という経済観、③習近平一強体制の弊害、の三つを指摘できる。今回の対策も含め、習近平政権下の政策発動には、以下のような特徴がみられる。①習近平国家主席が全てを決める②大胆な政策転換を厭わない③不適切な政策を打ち出すことがある以上を踏まえれば、今後予想される一つのシナリオは、今回の景気対策効果の息切れで景気が失速し、追い込まれる形でより大胆な財政・金融政策を発動することになり、再び深刻な副作用に直面するという展開である。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)