リサーチ・アイ No.2024-075 2024年の出生数は68.5万人、婚姻数は47.5万組の見通し 2024年12月03日 藤波匠2024年のわが国の出生数(日本人)は、前年比5.8%減の68.5万人になる見通し。出生数の減少ペースに明らかな加速が認められた2016年から2023年(昨年)までの年平均の減少率は4.0%であったことから、足元の減勢は極めて強い状況。※2024年の出生数、婚姻数は、厚生労働省が11月までに公表した人口動態統計のデータをもとに推計上記見通し通りとなれば、国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計の中位推計で示された2024年の出生数に比べて7.0万人の下振れとなり、低位推計の66.8万人に迫る水準。また、1人の女性が一生涯に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率は、過去最低だった前年の1.20を大きく下回り、1.15を割り込む見込み。2024年の婚姻数は、前年比0.2%増の47.5万組となる見通し。コロナ禍で大きく下振れしたものの、2023年末以降は横ばいとなり、ようやく下げ止まりの兆し。徐々に2016~2018年トレンドの延長線に向けて回帰しつつある格好。しかし、コロナ禍による婚姻数下振れが出生数に及ぼした影響は、看過できないレベル。コロナ禍によって失われた婚姻数を、2016~2018年トレンド線からの下振れ幅と同値と仮定して、2つの期間で試算。まず、2020年5月から2024年12月まで(コロナ禍以降)の期間におけるトレンド線からの下振れを積算すると、失われた婚姻数は11.3万組。コロナ禍直前に見られた「令和婚」などによる婚姻数先食いの影響を織り込むため、2018年10月以降についてみた場合は9.4万組に。次に、9.4万組の婚姻数の減少がもたらす潜在的な出生数下押し効果を試算するべく、夫婦の完結出生子ども数(※)1.90(直近2021年値)を乗じると、出生数の下押し効果は17.9万人。この効果は、2020年以降の複数年にわたり出現していると考えられ、今後の出生数についても下押し影響が続く可能性がある。※完結出生子ども数は、結婚持続期間15~19年の夫婦の平均出生子ども数と定義され、夫婦の最終的な出生子ども数とされる(国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査より)(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)