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リサーチ・フォーカス No.2024-046

頼れる親族がいない高齢者に対する自治体の支援 -自治体アンケートから見た連携・協働の可能性-

2024年11月21日 岡元真希子


医療・介護などを受けるうえで必要な手続きに際して、頼れる親族がいない高齢者の場合、ケアマネジャーなどの介護事業者や医療機関、民間事業者などが分担して支援することが多い。この役割分担の調整を地方自治体が担っている。

日本総合研究所が令和5年度厚生労働省老人保健健康増進等事業の補助を受け実施した「身寄りのない高齢者の生活上の多様なニーズ・諸課題等の実態把握調査」では、頼れる親族がいない高齢者が困難に直面しやすい 30 の場面について、自治体の支援実態を尋ねた。その結果、在宅生活・入退院・転居の場面では7~9割の自治体が、死後対応では4割前後の自治体が、それらの場面について相談を受けた経験を有する。相談に対し、自治体が関係機関と協働したり、連携先につなぐなどして対応することが多いが、行政職員が自ら支援するケースもある。

30 の場面のうち、自治体の支援経験が豊富で支援体制が構築されている領域(介護保険の利用など)、発生頻度は低いが自治体が自ら行うことが明確な領域(火葬など)はあるが、一方で、「銀行に同行して振込みを支援」「入院手続きの支援」「サービス付き高齢者の入居契約の支援」など、発生頻度は高いものの役割分担が明確ではなく、自治体も「支援しない」領域があり、支援体制の構築が急がれる。

頼れる親族のいない高齢者の支援ニーズが顕在化している都市部では、高齢者等終身サポート事業者のような専業事業者に加え、士業の事務所、介護事業者、葬儀社、不動産業者などが事業の一部として家族に代わる支援を提供する傾向がある。重層的支援体制整備事業を通じて支援を充実させている地域では、銀行手続きが難しい高齢者に対して、協働・連携による支援が進んでいる傾向もみられた。今後、行政職員の減少が予想されるなか、地方自治体は高齢者の支援ニーズを顕在化させることによって支援の担い手の裾野を拡大するとともに、連携・協働にあたってのルールづくりなどを進めていくことが重要である。

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