リサーチ・レポート No.2024-011 勢いを欠く世界景気 ―かみ合わない大国間の歯車、トランプ政策で深刻化― 2024年11月20日 西岡慎一足元の世界経済は持ち直し。業種別では、世界的にサービス業が好調。インフレ圧力の緩和で消費が持ち直しており、小売や外食などの景況感は良好。デジタル化の進展で情報通信サービスの経済活動も活発。他方、製造業の生産活動は二極化。中国で増産が続く一方、先進国では日本や欧州を中心に減産傾向。中国で内需が弱く、輸出攻勢を強めていることが一因。中国では産業が高度化しており、日本やドイツなど先進国との競合分野が増加していることも、先進国の生産を押し下げ。米国経済は対中デカップリング政策の影響もあって中国経済の影響を受けにくく、他の先進国よりも堅調。先行きの世界経済は回復力に乏しい展開を予想。世界の実質成長率は2024年から2026年にかけて3%台前半にとどまる見通し。米国では大規模減税で2026年に景気が上振れるものの、対中関税の大幅引き上げで中国経済が減速。米国ではインフレ圧力が高まることから来春にも利下げ打ち止め。新興国などでは通貨安圧力が強まることから、利下げ幅が縮小し、景気回復ペースは鈍化。当面のリスクシナリオは、先進国の保守主義傾倒や財政悪化。先進国による産業支援策や米国による広範な関税引き上げは、過剰生産や過当競争を引き起こし、経済成長力を減殺。産業支援や軍事支出の増加で政府債務が膨らむリスクも。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)