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リサーチ・アイ No.2024-062

わが国企業の海外現地法人、業績に陰り ― 落ち込む中国への販売、競争激化と事業縮小が背景 ―

2024年10月29日 藤本一輝


近年、わが国企業は海外経済の成長を十分に取り込めず。わが国製造業の海外への売り上げ(輸出と現地法人売上の合計)は、2020年代に入ってから世界GDPの伸びを下回る傾向。これは、生産拠点を海外にシフトさせつつ、海外売り上げを世界経済の成長に合わせて伸ばしてきた2010年代までとは異なる動き。なかでも中国法人の売り上げが中国GDPの拡大に比べても大きく落ち込み。その背景として次の2点を指摘可能。

第1に、中国企業の競争力向上。貿易データを用いた分析によると、中国の比較優位分野は機械産業の中間財(加工品・部品)や資本財に及んでおり、わが国が強みを持つ分野と競合。わが国と中国が競合する分野の割合は2022年に7割超と、5割に過ぎなかった2015年から大きく上昇。主要先進国のなかでもわが国は中国と正面から競合。最近でも自動車産業で中国の競争力が急速に高まっており、中国との競合分野は一段と拡大。

第2に、わが国企業が中国事業を縮小させる動き。経済産業省「海外事業活動基本調査」によると、中国法人の数はピーク時の2015年から1割以上減少。日本貿易振興機構の調査によると、中国ビジネスを縮小・撤退させる理由として、コストの上昇や現地の需要減少に加え、地政学的リスクの高まりや日中両国の規制といった政治的な要因を挙げる企業が多数。

上記の環境・諸条件を勘案すると、わが国企業は中国に過度に依存しない供給網・販売網を構築する必要。インドや東南アジアなど将来有望な新興国への積極進出が検討課題に。


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