リサーチ・アイ No.2024-052 コメ価格急騰も物価全体への影響は限定的 ― 低所得層への打撃には要注意 ― 2024年09月13日 小方尚子コメの価格が急騰。7月の消費者物価のうち米類は前年比+17.2%に上昇。この背景として、昨年生産されたコメが猛暑などで不作であったほか、南海トラフ地震発生への警戒感が高まったことなどを受けて備蓄需要が強まったこと等が指摘可能。パンや麺など食品全体の値上げが緩和方向にあるのとは対照的。今後もコメ価格の高値が続く可能性。9月には新米が店頭に並び始めており、品薄感は解消されつつあるものの、農協がコメ農家に支払う概算額が昨年よりも増加。主要ブランド米の概算額は前年比2割高。コメ価格の上昇は、とりわけコメの支出割合が高い低所得世帯にとって打撃。低所得世帯は近年の物価上昇で家計が圧迫されているだけに、コメ価格の上昇はそれに追い討ちをかけるかたち。ただし、コメ価格の上昇は物価全体の押し上げには至らず。仮に現行の伸びが続いたとしても、消費者物価(総合)を0.1%ポイント押し上げるに過ぎず。さらに、コメ加工品はせんべいを除いて大幅な価格上昇はみられず。コメ加工品では、コスト全体に占めるコメ比率が低いほか、外国産米が多用されていることから、その価格は輸入原材料や燃料費に大きく左右される一方、国内のコメ価格の動きには連動せず。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)