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RIM 環太平洋ビジネス情報 Vol.24,No.94

中国大企業の債務問題を点検する ─産業別債務残高と付加価値額に関するデータ分析─

2024年09月13日 関辰一


中国企業の債務問題を議論するに当たり、約2,000万社ある中国企業を一括りに扱うべきではない。着実に実力を高め、付加価値額を伸ばすことで債務状況に改善がみられる企業は少なくない。一方で、不動産開発企業のみならず、債務状況が悪化し、先行き厳しい調整を余儀なくされる企業も数多く存在する。

本稿は、中国大企業を31の産業に分類し、産業ごとの債務状況を点検する。債務状況が改善した産業と、債務状況が悪化した産業に分類する。代表的な産業を取り上げて、企業の取り組みや中国政府のデレバレッジ策(債務抑制策)による結果を、2013年から2023年までの債務残高と付加価値額のデータから検証する。

各産業の動向から、以下のようなパターンを見出だすことが出来る。なお、大企業全体では、製造業の付加価値額の増加を主因に、債務残高の付加価値額に対する比率(債務比率)が低下し、債務状況に改善がみられる。

債務状況が改善した産業をみると、まず、企業が債務を増やしたが、事業活動によって生み出された付加価値額がより速いペースで増加し、債務比率が改善したパターンである。例として、はん用・生産用・業務用機械製造業、情報通信機器・電子部品・デバイス、電気自動車(EV)を中心とした自動車産業がある。債務状況が改善した産業には、着実に実力を高めている企業が存在している。

また、企業が債務を増やすことを政府から制限される一方で、需給バランスの改善、そして市況の改善によって付加価値額が増加し、債務比率が改善したパターンもある。例として、鉄鋼業、石炭鉱業がある。一方で、中国政府による鉄鋼生産能力削減政策は、相対的に小規模な民営企業を淘汰し、国有企業を救済した。

債務状況が悪化した産業をみると、住宅需要の減少が主因となったパターン、そして消費低迷が原因となったパターンがある。不動産業と建設業は前者、卸小売業は後者にあたる。こうした債務状況が悪化した産業には、今後、厳しい調整を余儀なくされる企業が存在していることに留意する必要がある。

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