経済・政策レポート
中国政府は 2023 年後半から、製造業強化策として「新しい質の生産力」を強調するようになった。これは、2015 年に打ち出された「中国製造 2025」の後継策と位置付けられる。
「新しい質の生産力」で特に重視されているのは、①新しい重要産業・製品での技術革新を加速させること、②基幹技術の内製化を目指すこと、の２点である。
こうした動きが出てきた背景には、中国の製造業が抱える三つの課題、すなわち、①過剰生産体質からの脱却、②経済安全保障面での環境変化への対応、③グリーン市場での競争優位の強化、に取り組む必要性に迫られたことがある。
「新しい質の生産力」の方向性は正しいものの、実現には次の三つの問題点を抱えている。
①改革の主導権は企業ではなく、中国共産党・政府が握る
②人材確保の目途が立っていない
③過剰生産問題が広がるリスクがある
以上を踏まえると、グリーン市場での競争力強化はある程度成功するとしても、中国政府が目指すような多くの重要産業・製品でイノベーションが創出される展開は考えにくい。
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