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ビューポイント No.2024-011

GX推進機構の金融支援への期待と課題 ~官民ファンドの課題を踏まえて実効ある支援を~

2024年08月09日 大嶋秀雄


本年7月、GX推進機構が始動。官民連携によるGX推進の中核機関として、わが国のGX戦略上、重要な役どころ。主な業務は、①GX投資の推進に向けた債務保証等の金融支援、②排出量取引制度の運営、③化石燃料賦課金等の徴収の3つ。

本稿では金融支援に注目。GX推進機構は、債務保証によって民間が取れないリスクを補完し(民業補完)、GXへの民間資金を喚起(呼び水効果)。政府がGX基本方針で新たな金融手法として普及を目指す「ブレンデッドファイナンス」を実践。

政府は、これまでも多数の官民ファンドを設立して、様々な政策目的でリスクの補完や民間資金投入の喚起を実施。一定の効果は得られたものの、支援分野の重複やガバナンスへの疑念、累積損失の拡大、民業圧迫の懸念といった問題も顕在化。

今後、金融支援の中核を担うGX推進機構には、官民ファンドで指摘される問題点などを踏まえて、以下の取り組みが求められる。
①支援対象の明確化~補助金・官民ファンド等との役割分担
具体的な支援対象を示し、補助金や官民ファンド等との役割の違いを明確化。加えて、政府や金融機関、官民ファンド等と連携して、GX実現に資するプロジェクトを研究開発から収益化まで切れ目なく支援する体制を構築。

②ガバナンスの強化~KPI、外部検証、情報開示
ガバナンス態勢の強化も不可欠。政策目的に即したKPIの設定や外部検証機関の設置、適時適切な情報発信によって、運営状況のチェック機能や透明性を確保。

③長期的な損失の回避~審査・期中管理、ノウハウ蓄積
収益要件はないものの、公的資金を用いる以上、損失は回避する必要。審査体制の強化やリスクに応じた保証料率の設定、支援対象の進捗確認・助言等の期中管理も徹底。また、様々な知見が必要となるため、ノウハウ蓄積・人材育成も不可欠。

④官民での適切なリスク分担~支援案件の見極め、適切な保証料率・保証割合
民間が取るべきリスクまで肩代わりしないように支援対象プロジェクトの目利き力を高めるとともに、適切な保証料率・保証割合の設定によって、モラルハザードを防ぎつつ、官民が適切にリスクを分担できる仕組みを構築。


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