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リサーチ・アイ No.2024-040

利下げに向かうASEAN諸国 ― 金融緩和が内需押し上げへ ―

2024年08月02日 森田一至


ASEANでは、多くの国で政策金利が高止まり。とくに、フィリピン、インドネシア、タイでは過去平均との差が大きく、高金利が内需の下押し圧力に。もっとも、これらの3ヵ国は今後利下げに転じるとの見方が強まっており、市場は来年末にかけてそれぞれ0.5~1.5%幅の利下げを予想。利下げが予想される理由は、以下の2点。

第1に、物価上昇圧力の緩和。インドネシア、フィリピンのインフレ率はともに足元で2~3%台、タイはゼロ%近傍に低下。この背景として、①エルニーニョ現象の終息や各国政府の価格支援策などによる食料価格の落ち着き、②既往の利上げ効果の浸透を受けた家賃や自動車価格の軟化、③通貨安の一服などによる輸入物価の頭打ち、を指摘可能。

第2に、為替相場の安定。これまで減価傾向にあった3ヵ国の対ドル為替相場は足元で増価に転じる兆し。この背景として、①米国の利下げ観測の高まり、②3ヵ国の景気回復期待、③3ヵ国の健全な財政運営、を指摘可能。

利下げが実現すれば、停滞気味であった3ヵ国の設備投資や個人消費などの内需が押し上げられる見通し。

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