ビューポイント No.2024-010 中国の三中全会で示された経済構造改革プランの評価 2024年07月26日 枩村秀樹、佐野淳也中国共産党は7月半ば、中長期の経済構造改革プランを決定する三中全会を開催した。これまでも中国の経済運営を方向づけてきた重要な会議である。中国政府が取り組むべき経済課題は数多くあるが、中長期的な経済発展という視点で考えると、①不動産依存からの脱却、②消費主導型成長への転換、③若年失業問題の解消、の三つがポイントである。これらの課題に対する三中全会の採り上げ方は次の通りであった。まず、不動産依存からの脱却については、一定の方向感が示された。不動産需要の長期減少に時間をかけて対応するほか、土地の売却に頼った地方政府の歳入構造を見直す政策も打ち出された。一方、消費主導型成長への転換と若年失業問題の解消に関しては、正面から取り組む姿勢に乏しく、期待外れの結果となった。今回の三中全会は、党・政府による統制強化や国有企業の重視が強調され、市場の不均衡を解消するための取り組みはほとんど見当たらなかった。これは中長期的な潜在成長率を低下させることになり、所得向上を見返りに党・政府の厳しい統制を受け入れてきた国民の不満を高める恐れがある。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)