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JRIレビュー Vol.7,No.118

アメリカ経済見通し

2024年07月04日 松田健太郎立石宗一郎


足許のアメリカ経済は内需を中心に堅調に推移している。家計では所得環境の改善や資産効果の発現が個人消費を下支えしている。労働市場では需給のミスマッチが改善しているほか、企業の雇用確保の動きから解雇者は低水準にとどまっている。これが失業率を低位にとどめており、景気支えの一因となっている。加えて、積極的な財政政策も景気を押し上げている。

今後のアメリカ経済の拡大ペースはやや鈍化する見通しである。当面の実質GDP成長率は+1%台前半にとどまるとみる。既往の利上げにより金融環境が引き締まっており、企業の設備投資や家計の消費活動を下押しする見通しである。この間、インフレ率は緩やかに低下する見込みである。その後は、良好な雇用・所得環境やインフレ沈静化を受けた利下げへの転換が景気を後押しするとみる。2024年通年の成長率は+2.2%、2025年は+1.9%と潜在成長率並みで推移すると予想している。

当面のリスクとして、インフレ再燃が挙げられる。インフレを引き起こす要因として、①政府による財政支援や企業による雇用確保が需要を想定以上に強めること、②地政学的リスクの顕在化を受けて資源価格が高騰すること、③住宅市場の流動性低下を受けて住居費が上昇すること、が挙げられる。これらの要因はFRBの金融引き締め姿勢を再び強め、景気の振幅を大きくする可能性がある。

トランプ氏が大統領に就任することによる大幅な政策変更も、アメリカ経済のリスクである。同氏が掲げる減税によって財政赤字が拡大する場合、物価や金利を大きく押し上げる可能性がある。関税の引き上げによって物価上昇のかたちで国民負担が増大し、所得格差が一段と拡大する恐れもある。さらに、移民規制の強化も、物価の上昇圧力を高めるとともに、中長期的な成長力を押し下げる恐れがある。


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