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JRIレビュー Vol.7,No.118

日本経済見通し

2024年07月01日 藤山光雄後藤俊平


足許のわが国経済は景気回復に一部で足踏みがみられるものの、先行きは内需主導で緩やかに回復する見通しである。好調な企業収益を起点に、物価の伸びを上回る賃上げや将来を見据えた設備投資などの前向きな支出が広がり、経済の好循環が実現するとみる。

所得環境の改善や株高の資産効果などを背景に、個人消費は持ち直す見通しである。人手不足感の強まりや労働生産性の高まりなどを受けて賃金の伸びが高まり、実質賃金は前年比プラスでの推移が定着すると予想する。

好調な企業収益が支えとなり、設備投資は堅調に増加する見通しである。脱炭素やデジタル化、人手不足対応など企業の課題解決に向けた取り組みが活発化するほか、世界的な財需要の回復も設備投資の追い風となる見込みである。このような設備投資の増加が、資本装備率を押し上げ、経済全体でみた生産性の向上につながるとみる。

外需も、景気回復を後押しする見通しである。財輸出は、循環的な財需要の回復に支えられ、資本財や情報関連財を中心に増加する見込みである。インバウンド需要も、中国人観光客の回復がけん引役となるほか、新興国の海外旅行需要の高まりが押し上げ要因となり、引き続き拡大すると見込む。

物価面では、2%程度の緩やかなインフレが定着する見通しである。財品目の価格上昇が落ち着く一方、賃金上昇を起点とするサービス価格の上昇が主導する形でインフレ圧力が強まるとみる。賃金と物価が緩やかに上昇するなか、日本銀行は、小刻みかつ段階的な利上げを実施すると予想する。

わが国経済の好循環メカニズムを阻害する最大のリスク要因は、円安である。円安が一段と進行した場合、企業収益の悪化を通じて賃金の下押し圧力となるほか、物価の上振れで利上げペースが速まる可能性がある。構造的な円安トレンドを是正するためには、わが国企業の国際競争力の向上に資する成長戦略の着実な実行が不可欠となる。


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