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リサーチ・レポート No.2024-010

アニメ産業における供給面の課題

2024年07月19日 安井洋輔


わが国のアニメ産業は、堅調な海外需要を背景に、次世代の成長産業としての期待が高まっている。もっとも、先行き、アニメの供給能力はそうした需要に十分に応えられないリスクが大きい。これは改善しづらい業界慣行による低賃金環境の下、アニメーターやプロデューサー等(以下、アニメーター等)の同産業からの離職が後を絶たないことがある。

もっとも、多くのアニメ制作会社(以下、スタジオ)はアニメーター等の賃上げ余力に乏しい。アニメ作品ごとに形成される製作委員会という出資者グループに対して交渉力に劣るため、主な収入である委託制作費が抑制されているほか、制作したアニメ作品の知的財産権(以下、IP)も放棄させられており、恒常的に資金力は弱い。

こうした状況を打破するには、政府は、製作委員会に対し、発注前における制作費の適正な見積もりと、制作費の負担がなくても創作への貢献を考慮して、スタジオに最低1割のIP付与を義務付けるといった措置のほか、スタジオにアニメの企画開発のための補助金を支給することなどを行うべきである。こうした政府介入が必要になるほど、業界慣行が強固に固定化されてしまっている。共存共栄、業界発展のために、出資者・スタジオの関係見直しを図る必要があろう。

また、若年アニメーター等へのスキルアップ機会の充実も図る必要がある。アニメ制作スキルは汎用的なスキルであるため、公的な職業教育訓練を充実させるほか、検定制度の構築による「獲得スキルの見える化」などが求められよう。

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