リサーチ・アイ No.2024-033 トランプ再選で、米国の所得格差は拡大― 関税引き上げとトランプ減税延長で、高所得層の所得は増加、低所得層は減少 ― 2024年07月18日 立石宗一郎米国の個人消費は、良好な所得環境や株高による資産効果に支えられ、底堅く推移。もっとも、所得水準の違いなどにより消費行動の階層格差が広がっている可能性。とりわけ、若年層や低所得層の消費は抑制されている模様。これらの層では、クレジットカードなどの債務の延滞が増加。信用環境の悪化により、追加的な借入余地も縮小。株高の恩恵も、低所得者層には及びにくい状況。所得別の平均保有資産をみると、所得上位10%の富裕層とそれ以外の層では、資産規模に大きな差があるほか、株式保有世帯の割合も高所得になるほど上昇。トランプ氏が次期大統領に再選される場合、所得格差は一段と拡大する見込み。トランプ氏は保護主義的な通商政策を掲げ、関税を大幅に引き上げる方針。これは、輸入物価の上昇を通じて、家計負担を増大させる見込み。なかでも、消費に占める輸入品割合が高い低所得層の負担が増す可能性。 トランプ氏は、関税引き上げによる家計負担の増大を減税で補う構え。減税の恩恵は高所得層に偏り、低所得層への恩恵は小。ピーターソン国際経済研究所の試算によると、関税引き上げとトランプ減税延長が同時に実施された場合、上位1%の高所得者層では税引後所得が1%強増加する一方、低所得者層では所得が▲3.7%減少。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)