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リサーチ・アイ No.2024-030

大企業で中高年層の賃金抑制が継続 ― 雇用慣行、転職、労働需給が背景 ―

2024年06月28日 藤本一輝


大企業の賃金の伸びは中小企業よりも低。厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用雇用労働者500人以上の大企業の所定内給与の伸びは中小企業を下回る傾向。これは、中小企業の方が人手不足感が強いことに加えて、大企業がボリュームの大きい中高年層の賃金を引き続き抑制していることが主因。年齢階層別にみると、若年層では企業規模によらず積極的な賃上げが行われている一方、中高年層では規模が大きいほど賃金が伸び悩み。

大企業による中高年層の賃金抑制は、以下の3点が背景。第1に、これまでの日本の雇用慣行である「後払い賃金方式」の調整が続いている点。これは若年期の賃金を生産性より低く、中高年期を高く設定することで、長期雇用を確保することに狙い。こうした賃金設定は徐々に修正されているものの、大企業では調整の余地が残存している模様。

第2に、大企業の中高年層では転職者が少なく、人材流出の可能性が相対的に小さい点。大企業では賃金、企業年金、福利厚生などの好待遇が転職の妨げに。

第3に、中高年層の需給ひっ迫感が相対的に小さい点。45~54歳の労働力人口は2010年から300万人増加しており、20~30歳代の労働力人口が大幅に減少していることとは対照的。

中高年層の賃金伸び悩みは、消費の弱さなどを通じて経済低迷につながる恐れ。中高年層の賃上げを実現するには生産性を引き上げることが重要。政府には中高年層も念頭に置いたリスキリング支援が求められるほか、企業も政府支援を活用しながら中高年層への人的資本投資を積極化することが急務。


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