リサーチ・レポート No.2024-003 【世界経済見通し】世界経済は持ち直し―リスクは経済分断とインフレ再燃― 2024年06月25日 西岡慎一足元の世界経済は持ち直し。ハイテク関連を中心にグローバルな財需要は循環的な回復。インフレ圧力の緩和で消費にも底打ち感。とりわけ、米国の需要が強。①家計の資産効果・過剰貯蓄、②政府の産業支援、③企業の雇用保蔵が背景。中国の供給も強。中国輸出の増加はグローバルな財価格の上昇圧力を緩和。先行きの世界経済は回復を予想。世界成長率は2024年に3.2%、2025年に3.3%と上向く見通し。この間、インフレは沈静化へ。米国では、銀行による融資姿勢の厳格化などが景気を押し下げるも、1~2%の成長が続く見通し。本年秋口にFRBは利下げに転じ、世界的にこれに追随する動きが広がる見込み。当面のリスクシナリオはインフレ再燃。米国で需要の強さが続き、米欧で中国の過剰生産への対抗措置が強まる場合、経済分断とともにインフレ圧力が再び強まる恐れ。米国金利の高止まりは、各国で通貨安や高金利などを招き、景気を押し下げる可能性。日本でも過度な円安が中小企業や家計の負担を高める恐れ。トランプ氏の米大統領再選は経済分断と高インフレを助長する恐れ。同氏が掲げる関税引き上げ、移民抑制、減税といった政策はインフレを招くほか、中長期的な成長力を押し下げ、財政の悪化につながる公算。トランプ政権下では政策を巡る不確実性が高いことも、設備投資などの停滞をもたらす要因に。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)