リサーチ・アイ No.2024-021 レパトリ減税の効果は一時的ながら、円安の歯止めに ― 日本国内への資金還流の増加により円転需要が高まる見込み ― 2024年06月07日 立石宗一郎ドル円相場は、円が下落基調。こうしたなか、円安歯止め策の一つとして、レパトリ減税が浮上。これは、海外配当にかかる法人税を減税することで、海外現地法人に蓄積された内部留保を日本国内へ還流させ、円転需要を高めようとするもの。現行の制度では、日本企業が海外子会社から配当金を受け取る場合、一定の要件を満たすと、配当金の95%が非課税所得に。日本企業が海外で得た利益のおよそ半分は現地で再投資される傾向にあり、円転需要は限られている状況。レパトリ減税により、残りの5%も非課税所得とすることで、海外から日本への資金還流が増える可能性あり。米国の例をみると、レパトリ減税は短期的に国内への資金還流を増加させる効果。米国では、2005年にブッシュ政権下で本国投資法を施行。国内還流利益の税率を1年間、35%から5.25%へ引き下げ。同年の資金還流額は約3,000億ドルと、前年から急増。17年には、トランプ政権下で実施された税制改革法で減税は恒久化され、18年には多額の資金還流あり。 ドル安・円高基調への本格的な転換は、日米の金融政策変更が必要とみられるものの、レパトリ減税により日本への資金還流が増加すれば、さらなる円安進行の歯止めとなる可能性あり。 (全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)