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ビューポイント No.2024-008

新たなフェーズに入る最低賃金の引き上げ ~全国平均1500 円をどう目指すか~

2024年06月05日 山田久


わが国の最低賃金は昨年の引き上げで「全国加重平均1000円」を達成し、「2030年代半ばまでに1500円」とする次の目標が示された。「物価が上がらない局面」から「物価が上がっていく局面」に移行するなか、新たな目標に向けた初年度となる2024年の改定額は、今後の引き上げペースを占ううえで要注目。

最低賃金は「労働者の生活保障」と「企業の健全経営」の両面を睨みながら適切に決めていくことが求められるが、「労働者の生活保障」の観点からは、絶対水準でも平均賃金対比の比率でも先進諸外国に比べて低く、一段の大幅引き上げが必要。

「企業の健全経営」の観点からは、既にかなり重荷になっているとの声が聞かれ、国際比較からみた低さと一見矛盾する印象があるが、これは欧州では複数レートや適用除外があり、「実効レート」では見かけより重くないという事情。

労働力不足が深刻化するなか、企業は賃上げができなれば人材が確保出来ず、事業の継続が危うくなるという状況。この点からすれば、最低賃金の一層の引き上げは不可欠で、引き上げが可能な環境をいかに整備していくかという発想が建設的。

今後の目標については「2030年代半ば1500円」をさしあたり維持しつつ、平行して同時に「カイツ指標」を開示し、これをチェックしながら、目標達成時期を適宜見直していくことが妥当な対応。

さしあたりの課題である2024 年の引き上げ幅については、物価・賃金情勢やカイツ指標の水準から判断して、「率にして4~5%、額にして40~50円」が適当。


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