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リサーチ・アイ No.2024-019

アジア経済が直面するトランプ氏再選時のリスク ― 通貨水準や貿易黒字が米国の制裁対象となる国・地域も ―

2024年05月30日 呉子婧


今秋の米国大統領選挙でトランプ氏が勝利した場合、アジア経済に大きな影響が及ぶ見込み。トランプ氏は保護主義的な政策を主張。主張の通り、対中関税を60%、全輸入品の関税を一律10%に引き上げた場合、世界の実質GDPは▲0.3%下振れ。中国への打撃は特に大きく、実質GDPは▲1%超の下振れ。米国でも関税引き上げによる物価上昇を通じて、実質GDPは▲0.5%下振れ。関税引き上げで米中の経済関係は一段と冷え込み、米国の輸入に占める中国のシェアは、2015年の21.5%から2025年には10.1%へ低下する見込み。

中国以外のアジア諸国・地域では、サプライチェーン再編などを通じたプラス効果あり。上記関税引き上げのケースでは、ベトナムの実質GDPが+1%超上振れするほか、台湾やインドでも小幅のプラス影響。グローバル企業は生産拠点の移転先として北米とアジアを重視する傾向があり。これにより米国の輸入に占める北米とアジアのシェアは徐々に上昇。関税引き上げでこうした傾向が強まる見通し。

一方、アジア諸国・地域には通貨や貿易収支を巡るマイナス効果もあることに注意。「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ氏は、中国以外のアジアに対して友好的とは限らず。アジア諸国・地域の対ドルでの通貨安や対米貿易黒字拡大はトランプ前政権時よりも進行。これらを問題視し、制裁関税を課すなどの動きに出れば、マイナス影響がアジア全体に広がる恐れ。実際、トランプ氏は2020年に貿易赤字が拡大していたベトナムの輸入製品に対し制裁関税を提案した実績あり。


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