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わが国のGX推進に不可欠なGX経済移行債の円滑な発行

2024年05月29日 大嶋秀雄


わが国政府は、グリーントランスフォーメーション(GX)の実現に向けた政府支援の財源として、本年2月からGX経済移行債を発行。5月28日、本年度の初回入札(10年債)が行われ、応札倍率は直近の10年利付国債と同程度。その一方、利回りは市場金利より高く、表面上、"負"のグリーニアムが発生し、割高な発行に。流動性リスク等が意識された可能性。

GX経済移行債は、わが国政府のGX戦略のフレームワークの一角であることに加えて、わが国の脱炭素社会への移行に不可欠なトランジションファイナンスの市場形成を促すために、あえてトランジション債として発行しているもの。そのため、企業のグリーン債による資金調達とは異なり、調達コストの引き下げ(グリーニアム)は重要ではないものの、今後も割高な発行が続いた場合、GX経済移行債の発行意義への疑念が広がる可能性は否定できず。

また、これまでの応札倍率等をみると、積極的な投資を呼び込めていない状況。流通市場における流動性リスクに加えて、海外投資家等のわが国のGX戦略やトランジションファイナンスへの疑念を払しょくできていない可能性。本年2月発行分の約4割はすでに日銀に売却されており、安定的な投資家を十分に獲得できていない懸念も。

わが国のGX戦略の推進において、GX経済移行債の円滑な発行は不可欠。今後、わが国政府には、低・脱炭素に資する支援対象の選定やインパクトレポーティング等によってGX支援の実効性・信頼性を高めるとともに、国内外におけるトランジションファイナンスの制度整備等を後押しして市場形成を促すことが求められる。


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