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ビューポイント No.2024-007

Well-beingとBeyond GDP―世界の議論は「脱成長」では無く、「成長と社会課題解決の両立」―

2024年05月24日 石川智久


近年、わが国では、脱成長論や資本主義の見直しが話題となっている。一方で、世界では、新資本主義の行き過ぎは修正すべきとしながら、反資本主義・脱成長とはなっていない。マーケットメカニズムをベースとしつつ、経済学、景気指標、経済体制を如何に修正するかという方向で議論がされている。その中で注目されるのが、Well-being とそれを考量した経済指標群の在り方を考える Beyond GDP である。

国際機関の動きをみると、OECD は、所得だけでなく主観的幸福度まで考慮したWell-being 指数である
Better Life Index(BLI)を策定。国連も、GDP を最重要とし、それを補完する指標まで考慮した、Beyond GDP 等について 2024 年の 9 月までに意見をまとめるとしている。また先進国では、省庁の垣根を越えて、解決すべき課題毎の Well-being 予算作成等の対応が進んでいる。これらの動きは、総じてみると、GDP をベースに、格差是正、自然環境の保全、社会的なつながりの確保、教育の改善等が考慮される傾向がある。一部に日本のメディアにあるような「脱GDP」という要素は海外の議論では見られないことに留意する必要。

わが国でも、Well-being や GDP beyond に向けた動きは見られているが、様々な課題がある。それに対しては以下のような対応が重要である。
・一部の世論にあるような脱成長ではなく、GDP を伸ばしながら、格差や環境等の様々な課題の解決を進める必要。欧米では生産性向上や賃金上昇も Well-being向上策であると認識されており、日本も同様の認識を土台とするべき。
・有効な政策手法を整備すること。例えば、課題毎に各省庁の垣根を超えた予算枠を作るなどした場合、バラマキとならないように、データの整備と EBPM の推進、ルール化、監視体制の構築を進めて財政への負担を最小化すること
・地域に密着した地方自治体での取り組みを加速すること。デジタル庁主導で地域幸福度の導入議論が進んでいるが、指標の導入だけでなく、この指標の導入目的である「自治体が個性を磨く」「EBPM・ワイズスペンディングに役立てる」という観点が守られているかどうか、きちんとチェックしていくべき

持続的な経済成長を実現させ、その上で社会課題も同時に解決することで、真に豊かな国を目指していくことが大事である

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