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介護支援専門員の資質向上に資する研修等のあり方に関する調査研究事業

2024年05月21日 高橋光進福田隆士大内亘


*本事業は、令和5年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

1.事業の背景・目的
 介護支援専門員の法定研修については、令和6年4月から新たなカリキュラムが施行されている。新たなカリキュラムに対応した研修企画が各地域で進んでおり、都道府県や研修実施機関等からは研修企画等を実施する際に必要となる情報を求める声がある。また、前年度(令和4年度)の「介護支援専門員の資質向上に資する研修等のあり方に関する調査研究事業」において、介護支援専門員の法定研修に関して、法定外研修や修了評価等も含め、都道府県、市町村、職能団体等が連携した研修実施体制のあり方についての検討の必要性が指摘されている。
 上記の背景を踏まえ、①令和6年4月からの新たなカリキュラムの円滑な施行に向け、研修企画等を実施する際に必要な情報を都道府県や研修実施機関等に提供すること、②研修の効果的な実施による介護支援専門員の質の向上に向け、都道府県、市町村、職能団体等が連携する研修実施体制のあり方の整理を行うことの2つを目的として本事業を実施した。

2.事業の概要
 新たなカリキュラムへの対応状況、法定研修の実施状況、研修向上委員会の設置・運営状況等を確認することを目的として、都道府県、研修実施機関を対象としたアンケート調査およびヒアリング調査を行った。それらの調査結果を基礎資料として、都道府県や研修実施機関等に対して、新たなカリキュラムの円滑な施行に向けた情報提供を行うとともに、有識者等からなる検討委員会において、研修実施体制のあり方について検討・整理を行った。

3.事業の成果
 調査を通じて、各地域の準備状況や課題認識等の把握を行った上で、全国介護支援専門員研修向上会議において都道府県や研修実施機関等への情報提供を行った。また、介護支援専門員の質の向上に向け、都道府県、市町村、職能団体等が連携する、効果的な研修実施体制のあり方について検討を行い、研修向上委員会の定義、役割・機能、想定される構成委員等の見直し案を作成した。

4.今後の課題
①新たなカリキュラムに基づく法定研修の実施状況等の定期的な把握、好事例等の横展開
 本事業で調査を行った時点では、各地域の新カリキュラムに対応した法定研修の講義や演習は企画検討段階であったため、令和6年4月以降に各都道府県で実施される研修の具体的な内容等の把握まではできていない。今回のカリキュラム改定は平成28年以来、約8年ぶりの大きな見直しであり、新たに追加された適切なケアマネジメント手法や他法他制度の活用等に関する科目を中心に、具体的な研修の進め方について試行錯誤している都道府県や研修実施機関等も多く存在していると考えられる。そのため、引き続き各地域の研修の実施状況等の定期的な把握、好事例等の横展開を行っていくことが必要である。

②地域差の実態および要因等の分析、満足感ある研修に向けた方策の検討
 法定研修が主任介護支援専門員を含む介護支援専門員の資質の確保・向上において極めて重要な役割を果たしていると考えられる一方、研修の内容、研修時間の長さ、受講料などの改善・改良の必要性についてさまざまな指摘がなされている。
 本事業で実施した調査によると、受講料については、最低額の島根県は2万800円、最高額の山形県は8万280円であり、5万9,480円もの差が生じており、地域差の存在も課題として指摘されている。法定研修の内容の満足度等についても都道府県や研修課程、科目ごとに差が生じていることが示唆されている。このような地域差が生じる要因等についてはこれまで深掘りした調査が行われていないため、改めて調査等を実施し、要因等を明らかにすることが必要である。

※本調査研究事業の詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
報告書

【本件に関するお問い合わせ】
リサーチ・コンサルティング部門 マネジャー 高橋光進
E-mail:takahashi.mitsunobu.y3@jri.co.jp

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