RIM 環太平洋ビジネス情報 Vol.24,No.93 中国過剰債務問題の新たな動き ─債務比率が改善する大企業、債務が急増する小規模企業─ 2024年05月10日 関辰一中国では、持続的に経済成長が出来るか否かを左右する過剰債務問題において、注目すべき二つの新たな動きがみられる。一つ目は、不動産業と建設業を除く大企業の過剰債務が徐々に緩和していることである。不動産業と建設業では、不動産不況により債務比率が上昇して過剰債務が深刻化しているが、その二業種を除く大企業では、政府のデレバレッジ策(債務抑制策)などにより債務比率が低下している。これは、中国経済の前向きの構造変化ともいえよう。もう一つは、小規模・零細企業の債務が急増していることである。政府は、金融機関に対して小規模・零細企業向け貸出を積極化するよう指導し始めたことで、小規模・零細企業向け貸出は過剰ともいえるペースで拡大している。2023年9月末の小規模・零細企業向け貸出残高は69兆元と2015年末から46兆元増加しており、その規模は同期間における大企業・中規模企業の債務残高の増加分(53兆元の増加)に迫りつつある。小規模・零細企業の巨額の債務が焦げ付き、不良債権が急増するリスクが高まっている。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)