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ビューポイント No.2024-004

わが国の金融教育はどうあるべきか―海外主要国の取り組みから得られる示唆―

2024年05月02日 野村拓也


わが国政府は、「資産所得倍増プラン」(2022 年11 月公表)に金融経済教育推進機構(機構)の設立のほか、金融教育も含めた資産形成に関する戦略の策定を明記。また、本年3月には、「基本的な方針」を閣議決定し、金融教育を受けたと認識する人の割合を米国並み(20%)にするなどの方針が示された。

一方、海外主要国では、2020 年の英国、2021 年のフィンランド、カナダ、2022 年の豪州など、金融教育に係る戦略等を相次いで公表。各国は同戦略をベースに、金融教育に関する取り組みを進めており、結果として、わが国よりも国民の金融リテラシーを高い水準で維持。

海外主要国の金融リテラシー向上に向けた特徴的な取り組みは、以下の通り。
[英国] 金融教育の質を担保する認証マーク制度の活用、モバイルウォレット等新サービスの金融教育への組み込み、金融教育プログラムへの補助金の提供。

[フィンランド] ゴールオリエンテッドな教育体系の整備、ライフステージに応じた金融教育機会の提供、ゲーム要素を取り込んだツール活用、補助金の提供。

[カナダ]
消費者への金融商品(プロダクト)に関する適切な情報提供、自発的な行動を促す「行動デザイン」をベースとした取り組み。

[豪州] 金融教育に係る各主体が連携するネットワークの形成、金融教育におけるターゲット層設定・優先順位明確化、企業型確定拠出年金(Superannuation)に関連したイニシアチブへの取り組み。

これらの海外事例を踏まえ、わが国として以下の取り組みを進めていく必要。
① 機構設立により、金融教育推進に責任を負う組織が明確化。今後は、機構を軸にしたネットワークの構築、政策の優先順位付け、ターゲットの設定が課題に。

② 多様な形で金融教育を提供する必要あり。行動経済学を活用したツールの実装や、ゲーム要素を取り込んだ金融教育ツールの活用等を推進すべき。

③ 金融教育の質の担保を目的に、機構が各種の金融教育ツール等を認証する事業に取り組むことも一案になり得る。また、国際金融都市の実現に取り組む地方自治体も含め、金融教育プログラムへの補助金を導入することは検討課題。


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